雪国ラプソディー
「……ああ見えて、案外いいバランスなんだよ。あの二人」
立ち尽くす私に中村所長はどうぞ、と再びソファーを勧めてくれる。
「浅見さんを驚かせてしまったとは思うけど」
「はい、ものすごくびっくりしました……」
正直に感想を言うと、中村所長は目を細めて笑った。
「この営業所は毎年、廃止になるかギリギリ存続するかの瀬戸際なんだけどね」
ズズッとお茶を飲んで、中村所長は続ける。
「若い二人が切磋琢磨して働いているところを見ると、頼もしくて」
親のような心境なのかもしれない。親と言ったって、中村所長はまだ40代くらいの若さだろうけれど。
その感情を微笑ましく思いながら、私は中村所長としばらくお喋りを楽しんだ。