雪国ラプソディー
前を歩いて行く小林さんを追いかける。いつの間にかさっきまで室内で履いていた革靴がまた長靴に変わっていた。
ーー小林さんて、冬の間は長靴通勤なのかな。
「商談、どうでした?」
「上々だったよ。村山が頑張ったからな」
車に乗り込んで、聞いてみた。
嬉しそうに話す小林さんを見ていると、こっちまで嬉しくなってしまう。
営業所を出てすぐ、同じ通りに建っているビジネスホテルの横を通過した。
「予約したのは、今のホテルだから」
営業所から十分歩いて行ける距離だ。有名チェーン店の名前にも、安心する。
「駅から少し遠いのが難点だけど、出張で来た社員は皆ここに泊まってるよ」
予定外の出張は浅見が初めてだけどな、と笑われた。お互い様とは言え、何から何までしてもらって、返す言葉がない。
目的地へは車で10分もかからなかった。
小林さんが連れてきてくれたのは、いくつかのお店が集まっている、小さなショッピングモールのような場所。
その中のひとつが衣料品を扱っているようで、外からマネキンが飾ってあるのが見える。