雪国ラプソディー
トンネルを抜けると
なーーーんで私が!
私だってそこまで暇じゃないのに。
一応秘書課なのに。
……まだ半人前のひよこだけど。
私は新幹線の窓際の席に体を沈めて、移り変わる車窓をぼんやり眺める。さっきまで多かった高層ビル群はすっかり田園風景に変わっていた。
秘書課は名前の通り役員のサポートが多いけれど、それは経験を積んだ人の話。
私が入社する前年にたまたま欠員が出てしまったらしく、何故かなーんの資格も無い私が入社と同時に充てられてしまった。
毎日先輩の補助をしてはいるけれど、元々向いていないのか失敗ばかり。
ーーー正直に言うと、転職も考えています。
きっと、だから、私だったんだろうか。
こんな遠出の〝おつかい〟できる人なんて、他にいないもの。