雪国ラプソディー
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発車ベルが鳴り、新幹線がゆっくり滑るように動き出す。
無事に乗れた私は、ホッとしながらシートに深く腰かけて、首を伸ばした。
ーーあっという間だったなあ。
雪国は、温かい。
営業所のみんなはとても優しくて、とても刺激になった。こんな私にも、真摯に向き合ってくれたことが、本当に嬉しかった。
あの豊かで、時に脅威ともなる自然に向き合い、共に生活していく。寄り添って、助け合って。
私の悩みは、なんて小さなことだったんだろう。
今までの私の小さな世界が、バラバラと音を立てて崩れていく。
浮かぶのは、小林さんの強くて優しい目。
もう二度と、会えないかもしれないのに。
「はあ……」
何だか、頭がぼーっとする。
ちょっとだけ休もうかな、とコートの襟元へ手を伸ばして、はたと気付いた。
「ああっ!」
周りの人が私の方を振り向いたので、慌てて口を手で覆って俯いた。
ーーどうしよう。
私、小林さんにマフラー返すのを忘れてた!
「会社に戻ったら、電話しないと……」
首もとの温もりに、まだ、小林さんが近くにいるような気がしてめまいがする。
もしかしたら私、小林さんのこと。
「好きになっちゃったかも……」
小さな呟きは、トンネルに入る轟音にかき消された。
発車ベルが鳴り、新幹線がゆっくり滑るように動き出す。
無事に乗れた私は、ホッとしながらシートに深く腰かけて、首を伸ばした。
ーーあっという間だったなあ。
雪国は、温かい。
営業所のみんなはとても優しくて、とても刺激になった。こんな私にも、真摯に向き合ってくれたことが、本当に嬉しかった。
あの豊かで、時に脅威ともなる自然に向き合い、共に生活していく。寄り添って、助け合って。
私の悩みは、なんて小さなことだったんだろう。
今までの私の小さな世界が、バラバラと音を立てて崩れていく。
浮かぶのは、小林さんの強くて優しい目。
もう二度と、会えないかもしれないのに。
「はあ……」
何だか、頭がぼーっとする。
ちょっとだけ休もうかな、とコートの襟元へ手を伸ばして、はたと気付いた。
「ああっ!」
周りの人が私の方を振り向いたので、慌てて口を手で覆って俯いた。
ーーどうしよう。
私、小林さんにマフラー返すのを忘れてた!
「会社に戻ったら、電話しないと……」
首もとの温もりに、まだ、小林さんが近くにいるような気がしてめまいがする。
もしかしたら私、小林さんのこと。
「好きになっちゃったかも……」
小さな呟きは、トンネルに入る轟音にかき消された。