雪国ラプソディー
クッキーに、誓いを

「おはようございます……」

喋るとぜいぜいと息苦しい。
本日金曜日、私は4日振りに本社へ出社した。なぜ4日振りなのかと言うと、恥ずかしながら大風邪をひいてしまい会社を休んでいたからだ。


実はあの日、帰りの新幹線内でいつの間にか眠ってしまった。自分で思っていたよりずっと疲れがたまっていたみたい。

やがて到着を知らせるアナウンスで目が覚めると、何だかだるいし体の節々が痛い。
急激な体調の変化に不安を感じて、そのまま会社ではなく病院へ直行した。

ーー結果、39度の高熱を上げていたわけで。


やっぱり、雪国は、寒いっ!


なんとか熱が下がり、出社できるようになったのが今日というわけだ。咳がひどいのでマスクを着けている。


「あ!浅見さん」


ハンガーラックにコートを掛けている私のところまで、工藤課長がやって来た。
思えば月曜日、同じように課長に声をかけられて私の大冒険が始まったんだったな、と懐かしくなる。
課長は申し訳なさそうな、でもどこか嬉しそうな顔をしていた。


「おかえり。今回はお疲れ様」

「すみません、私3日も休んじゃって」

「いいんだよ。そんなに寒い所とは知らずに悪かったね。中村からお礼の連絡があったよ」


中村所長の、優しそうな笑顔が浮かんだ。
色んなことがあったけれど、いい思い出になったなあ。


ーーもう、みんなにも、小林さんにも会えないと思うと、残念だけれど。

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