雪国ラプソディー
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今話している村山さんは、小林さんの後輩だ。見た目通り華やかな人で、私のひとつ上にあたるらしい。話していて楽しいけれど、少々(?!)軽い人なのは否定できない。
あの出張以来、村山さんは用事もないのにしょっちゅう電話してくる。
長い長い挨拶の後でやっと用件を聞くと、大体決まって彼はこう言うのだ。
『ありがとう楽しかったよ。じゃあ、営業部まで電話回してくれる?』
……結局のところ。全く無関係な部署をひとつ挟んで電話をしてきていることになる。
私の所属している秘書課からの電話取り次ぎは営業部員に訝しがられるため、私もやりづらいというのに。
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今日も村山さんは、楽しそうに話している。
『今日は浅見ちゃんにいいお知らせがあるんだ』
「そう言って、いいお知らせだったためしが一度もないんですが」
『あはは。厳しいなー』
村山さんとは、たくさん電話をもらううちにすっかり打ち解けてしまった。
……本当は小林さんともこんな風に、気軽に電話してみたい。
『あ、ごめん浅見ちゃん。僕もう出かけなきゃ』
「え? 結局お知らせって何なんですか?」
『また後で電話するよ!』
「村山さん、ちょ、ちょっと待っ」
言い終わらないうちにガチャン!と大きな音が耳に響いた。
結局何の用事だったのだろうと気になりつつも、私は自分の仕事に取りかかった。