雪国ラプソディー
窓の外は、少しずつビルの明かりが目立つように暗くなっていった。
私はそのビルの群を眺めながら、さっきの小林さんのことばを思い出していた。やっぱりどうにも、引っかかる。
「所長〝も〟会いたがってたし……って」
〝も〟って、どういう意味で言ったのだろう。
「いやいやいや、私ってば都合良く解釈し過ぎ!」
きっと、ただのことばのアヤ! と、ぶんぶんと首を振る。
気持ちを落ち着けるためにお茶でも飲もうと、自分のフロアへと歩き出した。
自席に戻ると、目を爛々と輝かせた先輩方から質問責めにあった。
「浅見さん、さっきの人誰?!」
「あの人がいつもの村山さん?!」
「その袋どうしたの?!」
私はしどろもどろになりつつ何とかごまかした。もう、恥ずかしいやら気まずいやら。少し黙っていてもらおうと、小林さんに貰ったお菓子の袋を早速開ける。中に入っていた可愛らしいチョコレートを先輩方に配ると、きゃあきゃあ言いながら食べていた。
お茶をいれて、私もそれをひとつつまむと、ミルクチョコの優しい甘さで口の中がいっぱいになった。