雪国ラプソディー
いざ、再びの雪国へ
緩やかに流れる大きな川、ふわりと風に乗ってそよぐ木々。そして、どこまでも続く広くて抜けるような青い空。
「はあ。いい眺め」
私はぱくりとおにぎりを頬張りながら、呟いた。
ここは、新幹線の窓際の席。高速でビュンビュン眺めが変わるかと思いきや、ゆったりと景色が流れていく。きっと都会に比べて、自然に奥行きがあるせいだ。
(本当に、間に合って良かった……)
休日だと思うとついつい気が緩んでしまったのか、出発が普段の出勤時間より遅いというのに思いっきり寝坊してしまった。今日は何があっても遅刻なんてご法度だというのに、朝から肝を冷やした。
駅のコンビニで買ったおにぎり2つをぺろりと食べ終えた私は、バッグの中から真っ白な封筒を取り出す。華やかな切手が貼られたそれには、繊細な装飾が施された招待状が入っている。
今日は、大切な人の披露宴だ。
(絵里さんのウエディングドレス姿、キレイだろうな)
ひとり思い出を懐かしんで、目を閉じる。