雪国ラプソディー
(素敵なホテル……)
人工的ではあるが、シックなレンガを基調とした外観の建物が森の中に佇んでいる。その前には大きな噴水だ。透き通った水が、太陽の光に反射して輝いて見える。それを眺めながら思わず深呼吸をした。
(絵里さんの、大人っぽくて優しい雰囲気にぴったりだ)
穏やかな気持ちになった私は、しばしうっとりとその景色を眺める。こんな俗世間から切り離されたような空間で結婚式を行うだなんて、世間一般の女子からすると憧れなのではないだろうか。
「いけない、そろそろ予約時間!」
腕時計を見てハッとする。
ヘアメイクの予約をしている私は、慌ててホテルのエントランスへと小走りで向かった。