雪国ラプソディー

中はもっと高級感溢れる内装だった。高級感と言ってもお高くとまっていて近寄りがたいものではなく、気品と優しさを兼ね備えた優雅な雰囲気だ。

黒や茶色を基調としたシックな色合いのインテリアと、それとは対照的なピンクや白の優しい印象のテーブルフラワーが目を楽しませてくれる。

席次表に示された場所へ着席すると、小さなネームカードが私の目を釘付けにした。少し灰色がかった紫とオフホワイトのドライフラワーが白地のカードを引き立てていて、何とも可愛らしい。


「わあ、かわいい!」


〝浅見菜々子様〟と書かれたそれを手に取ると、内側に手書きのメッセージが書いてあった。


『今日は来てくれてありがとう。菜々ちゃんに会えて嬉しい!』


(絵里さん……)


隣で板書を書き写す絵里さんの、少しくせのある温かい文字を思い出す。

まだ何も始まっていないのに、もう泣いてしまいそうだ。私は、膝の上に敷いたハンカチをぎゅっと握って、意識を逸らすことに専念した。


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