雪国ラプソディー

「いや……」


何かフォローでもしようとしたのだろうけれど、小林さんの目が完全に泳いでいることに気付いてしまった。

いいんです小林さん。
変身できるのは、今日一日だけですから。


「席次表を見て、まさかと思って来てみたけれど、後ろ姿じゃ浅見かどうか分からなくて」


だけど、と急に小林さんの口元がにやりと笑う。


「空っぽの皿だっていうのに、バシャバシャ写真撮ってるところを見たら〝絶対浅見だな〟と思って」

「みっ、見てたんですか?!」


恥ずかしすぎる。
小林さんは控えめに思い出し笑いをしているようで、手の甲で口元を隠した。


「相変わらずだな」

「小林さんこそ……!」


相変わらず意地悪で、と言いたいところだけど、すんでのところで飲み込んだ。
今日はお祝いの席だし、言い争いなんて絶対に避けないとならない。
それは小林さんも同意見のようで、それ以上は何も言わなかった。

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