雪国ラプソディー
迎えに来たひと

「うううう」


自分の体を抱きしめるようにして、暖をとる。(正確に言うと全くとれていない。)


「ううううう」


さっき駅ナカのコンビニで買った使い捨てカイロ(貼らないタイプ)を振っても振っても歯がカチカチぶつかってしまうほど。


「さ、寒いいいっ!」


何が〝ちょっとは〟寒い、よ!
寒いなんてもんじゃない、極寒だ。
課長は私を騙したの?
このお気に入りのコートじゃ雪国の寒さに耐えられないなんて、知らなかった。毎日の通勤では大活躍なのに。

辺りをぐるりと見渡してみると、構内を歩いている人々のスキーウェア姿がやたらと目に入る。鮮やかでカラフルだ。
改札前には、近場のスキー場と思われる積雪情報が掲示されていた。


「に、200センチ……?」


片手にカイロを握りしめて、薄手のコート姿で寒がっている私は、変な人に見えているかもしれない。
急に恥ずかしくなった。

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