雪国ラプソディー
「あの、すみません……。私、ご迷惑を」
ため息を吐いていた小林さんは、私の方を向くと首を振った。
「浅見のせいじゃない。あいつら面白がってるんだよ」
今の騒動で涙はすっかり引っ込んでいた。
私は、小林さんの評判が落ちなければいいなと願いながらも本題に入れずにいる。
「あの……」
「ん?」
意志の強そうな目だと思う。その目が今、私を映しているという事実に、頭がクラクラした。
「えっと、さっきの、は……」
「さっきのって?」
自分で言ったくせに、まさか忘れているのだろうか。それとも、わざと?
小林さんの心の中が全く読めなくて、その度に不安になる。
「私のこと探してたって、言ってませんでした……?」
もし私の聞き間違いだったらどうしよう。小林さんに会いたいがあまりに幻聴まで聞こえるようになってしまったのかと、一瞬ぞっとしたけれど。