Blood honey2
「私を嘗めるのも大概にして。
自分の苦手くらい克服済みよ。」
「え…、」
そう言って懐から三枚札を出す。
「札…?」
「見たら行ってね。
"勺天雷"爆!!(ジャクテンライ バク)」
―――バリッ…ババババッ…ドォォオン!!
三枚の札を中に投げて、言霊を叫ぶ。
すると、静電気が三枚を走って…青白い雷を落とした。
「これって…」
「"指揮札"
いーからさっさと行けッ!」
ガン、と飛び蹴りを食らわすと半泣きしながら届けに行った。
そして今回の任務も、悠の技で終了する。
「"焉"繋還(ココ ケイゲン)。」
――――ズババババッ!!
この10年で悠もかなり強くなった。
それこそ悠に特定の部下が出来たっていいくらいだ。
でもこの10年、入ってくるのはほぼ雑魚ばかりで、一年足らずで死んでいく。
あの日よりもよっぽど恐ろしい時代になりつつある。
「カナメ隊長、……どうすればいいんでしょう……」
事実、隊長がこんな大変だなんて知らなかった。
大切な人を亡くすのがこんなに辛いなんて知らなかった。
―――ボカッ!
「Σ~っ!何すんのよ!」
「なーに黄昏てんだよ、勝ったぞ!帰ろ帰ろ!」
思いに浸っていると、悠がいつの間にか後ろにいて、軽く殴られた。
「ちょっ!上司に何て事すんのよ!
謝れ!それと帰ろ!じゃないっ!
報告書書きなさい!」
「えー…ヤダ。
そう言えば、スエルバさんがシルビアに話があるとか言ってたな…」
「早く言えッ!!」
バシッと報告書を渡し、後で渡しに来いよと叫んでウイングに飛び乗った。
ウイングはロディが開発した乗り物だ。
「それにしても………
行くのヤだなぁ…ι」
10年たった今でも、スエルバにまとわりついているらしい、ユニィの噂を聞いた。
相当腕は上がってるらしいが…。