いちりょうぐそくっ！

才覚

その日、空は青かった。

天気が良く絶好の狩り日和だった。

少数の家臣と共に姫は狩りに出ていた。


馬に乗り、感慨深く感じていたのは福留親政であった。

こんな良い天気のときに姫と狩りが出来るなんて夢にも思わなかった。



そうだ、本来姫はこんな眩しい太陽の下で汗を掻き鍛練をしたり、狩りをしたり、戦をしたりが似合っているのだ。


１人感動している福留親政を不思議な目で見る人がいた。


｢爺、どうしたの？｣


｢いや、姫様は立派な体をしておられるから外で汗を掻いて鍛練に励むのが一番です。｣


｢そんなに立派な体しているかな・・・？｣


｢ええ！姫様は背が高く、胸も大きい！もう少し大きくなれば良い体に・・・｣

おっといけない。少し姫様を女として意識してしまった。


｢親政殿・・・姫を性的な目で見るのは止めてもらおうか・・・！｣

騎馬に乗り、隣から福留親政を睨み付ける若い男がいた。

歳は姫と変わらないくらいであろうか。


若輩者に注意をされ、ビクつく福留。

｢な、何を・・・。ワシが姫をそんな目で見る訳無かろうが・・・！さっきのは姫を褒めただけでだな・・・！｣

これで誤魔化せるか？


｢親政殿、女子を褒めるときは外見ではなく人柄を褒めるべきですよ。｣


軽く笑いながら若者は姫の側に行く。



これだから、この男は苦手なんだ。


本当は狩りに連れていきたくなかったんだ・・・。


でも姫はコイツを信頼しているみたいで、コイツがいなければ今回の狩りは無かっただろう。



久武親信・・・家中で一番姫に好かれている男・・・。
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