いちりょうぐそくっ!
しばらく狩りを続けていると福留親政と久武親信は有ることに気付いた。

それは姫が初めての狩りだというのに一時間そこらで一流の様な手際の良さを見せるのだ。


場慣れと言うのはよく有ることだが、姫は普段乗らない馬をすぐに乗りこなしており、弓に於いては本当に女性なのか目を疑うほどの飛距離と正確さを出している。



姫が普通の人より力が強いのは家中の誰もが知っている周知の事実。


しかし、今回の狩りを見る限りだと力だけでは無い。

武の才覚を感じさせる躍動感を姫は二人に魅せていた。

福留の隣で座って休憩をしていた久武が茶を飲みながら呟く。

「姫の武の才能はご兄弟の中でも一番だな。」


「そうなのか?ワシは姫の弟君二人の武を見たこと無いから分からないが。」

「二人の弟も姫に匹敵する武の才覚がある。だけど性格的に欠点がある。一人は感情的で熱くなりやすいタイプ。もう一人は良くも悪くも冷静なタイプ。」

福留はキセルを口にくわえながら考える。

確かに感情的なのは戦場では命取りだ。

もう一人の冷静なタイプは一見まともな感じがするが、冷静さが仇となり決定機を逃す。


「福留殿、そんなに考えなさんな。あくまでも今のところはですよ。まだ姫も弟君も若いのですから。これからですよ、武士の成長は。」



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