冷徹上司は大家さん!?
「一昨日くらいから、クマがだんだん濃くなってる。寝不足が続いてるんじゃないか?」

「あ、はい、よくわかりましたね……」

「毎日顔を見ていればわかるよ。いつもはピンクのチークがよく映えているのに、今日は全体的に肌が暗く見えるし」

「さ、さすが商品企画課長。恐れ入りました……」


 私がそう言うと、浅野課長は片側の口角だけ持ち上げて「まあね」と笑った。


「その日の血色によって、濃さを調節できるコンシーラーとかあったら便利だよな。今日はその企画書を作ってみる。じゃあ」


 彼はそう言っていつものように小走りで電車を降りて行った。
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