冷徹上司は大家さん!?
 ……ううん、今日はいつもと少しだけ違った。

 私のメイクだけじゃなく、寝不足が続いていることまで分析していたなんて、ちょっとびっくり。


 私自身のことを、見てくれたんだ。


 どうしてこんなことに喜んでいるのかは、自分でもよくわからない。

 でも、心なしか気分が明るくなった気がする。少しだけだけど。


『1番線、間もなくドアが閉まります。ご注意ください』


 車内アナウンスを聞いて、私も慌てながら電車を降りた。


 私が見たくない問題。

 それが何なのかはまだ少し曖昧なままだけど、とにかく今は目の前のことに集中しよう。


 私はそう考えて、会社へ向かう道を急ぎ足で歩き出した。

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