冷徹上司は大家さん!?
「とにかく、来週から商品企画課に異動だから、デスク周りを片づけておいてね。それから、後の人への引き継ぎもよろしく」

「わ、わかりました」

「お知らせは以上です。それじゃ、みなさん今日も一日よろしくお願いします」


 課長の言葉でみんな各々のデスクに戻り、仕事の準備を始める。

 私がまだ頭の中を整理しきれずに突っ立っていると、朝比奈さんが近づいてきた。


「ね、いいお知らせだったでしょ?」

「は、はい。ていうか、朝比奈さんは前から知っていたんですか?」

「うん、隠しててごめんね。ちょっと驚かせたかったからさ。本当におめでとう!」


 彼女はそう言って満面の笑みを私に向け、ぱちぱちと小さく拍手した。


「とにかく自信もって頑張って。困ったことあったらいつでも相談してよ」

「はい、ありがとうございます……!」
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