冷徹上司は大家さん!?
 そうだ、これから一週間はまだ引き継ぎがあるんだし、最後まで気を引き締めて頑張らないと。

 私は気を取り直してデスクに戻り、急いで電話をとった。


「お電話ありがとうございます。商品企画課……じゃない、すみません! 営業課の永原です」

「はは、おはようございます永原さん。さっそく商品企画課に異動したんですか?」


 そう言ってからかったのは、丸大百貨店の瀬尾さんだった。


「あはは、すみません。ちょっとまだ気持ちが落ち着かなくて、つい……」

「まあ、びっくりしますよね。こんなに早く希望部署への異動が決まるなんて」

「……あの、瀬尾さんも私が異動することを知ってたんですか?」

「ああ、そうなんですよ。というか、僕が永原さんを商品企画課に推したので」

「……え?」
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