冷徹上司は大家さん!?
「なんて、公私混同だよね、こんなこと言うの。ははは、すみません気にしないでください」

「は、はい」

「とにかく、今週いっぱいまで引き継ぎよろしくお願いします。それじゃあ」

「はい、失礼します……」

 受話器をデスクに置いた。

 まさか、瀬尾さんが私の異動に口添えしてくれていたとは。

 もちろん、いくら大きい取引先だからといっても、人事異動に社外の人の意見をそのまま取り入れることはないだろう。

 でも、私が商品紹介カードやPOPを何度も見直していたことを一番よく知っているのは、瀬尾さんだ。

 彼の意見が私の異動を後押ししてくれた可能性は、十分あり得る。

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