冷徹上司は大家さん!?
「おはよう」

「うわーーっ!」


 肩にぽんと置かれた手の主は、たった今思い浮かべていたその人。


「驚きすぎだろ」

「お、おはようございます、浅野課長……」


 そうだよ、同じアパートに住んでるんだから最寄駅も同じに決まってるじゃん!


「永原、クマできてるけど寝不足か?」

「あ、はい。ちょっと仕事の資料見直してたら遅くなっちゃって」

「そっか。営業は外部の人間と関わりがあるから、ミスしないように一際気遣うよな」

「そうなんですよね~、ははは」


 すみません嘘ついてます。本当はあなたのことで悩んでいて眠れませんでした……なんて言えるわけない!


「あ、来た! 乗りましょう」


 そのときちょうど電車が来たので、私は運良く話題をそらすことができた。
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