冷徹上司は大家さん!?
 ひと安心……と思ったのも束の間。


 浅野課長とばったり会って話していたせいで空いている車両を選び忘れ、混み合っている車両に乗り込んでしまった。

 いつも乗る女性専用車両とは違って、当たり前だけどサラリーマンばかり。


「きゃっ」


 少し揺れるただけで、背が平均身長よりちょっと低い私は人に埋もれてしまう。


「大丈夫?」


 私が困った顔をしていると、浅野課長が壁際の空いているスペースに立たせてくれた。


「これなら楽だろ」


 ……て、ナチュラルに壁ドンされてる! 何この状況!

 たしかに体の左側は壁、右側は課長の腕にガードされているから埋もれないですむんだけどさ……!
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