冷徹上司は大家さん!?
チラッと課長の顔を伺うと、何も変わらない表情でスマホをチェックしている。
改めてよく見ると、すごく整った顔立ち。
伏せられた目から伸びるまつ毛は私のすっぴんより全然長い。
眼鏡を支えている鼻筋はくっきり通っていて、ハーフと偽っても通用するくらいだ。
なんてぼーっと眺めていると、
「きゃっ!」
ガタン、と大きく電車が揺れてバランスを崩してしまった。
『この先揺れますので、ご注意ください』
いやいや、そのアナウンスもっと早く流してよ!
そう突っ込みながら体制を立て直そうと顔を上げると、目の前にあるのは浅野課長の顔。
あと5センチで触れてしまうほどの近距離に耐えられず、慌てて目をそらす。