冷徹上司は大家さん!?
「あの、私も観察されるのは恥ずかしいので遠慮したいんですけど……」


「そうなのか? 目を閉じてって言ったら素直にそうしてくれたから、大丈夫なのかと思った」


 いや、まさかキスされるかもとか妄想して力尽きたなんて言えません……。


「じゃあさ、毎日電車に乗ってる間だけ見せてもらうっていうのはどう?」

「はい?」

「その代わり俺は、料理教室以外でも永原に料理を教えるよ。頼まれたときは」


 な、なんと……。

 今回引っ越すまでずっと実家暮らしで、卵焼きすらまともに作れない私にとって、その交換条件は魅力的すぎる。


「でも、私明日からは女性専用車両に乗ろうと思ってて……」

「ああ、あの線には女性専用車両がないんだよ」

「ええっ!」
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