冷徹上司は大家さん!?
「おはようございます。営業課の永原です」

「あ、おはようございます。丸大百貨店の瀬尾です」


 電話の主は、私が担当している中で一番大きい取引先の社員、瀬尾さんだった。

 彼は入社して6年目だから、浅野課長と同い年。

 男性では珍しく化粧品売り場の仕入れ担当をしていて、年下の私にもいつも気さくに話しかけてくれる。


「瀬尾さん、お電話ありがとうございます。今日はどういったご用件ですか?」

「この前入荷した春物のリップ、なかなか売れ行きがいいんですよ。それで近々追加の発注をしたいと思って、ご連絡したところです」

「本当ですか! 何度もPOPを見直したかいがありました。追加発注、ぜひよろしくお願いします」

「はい! それで、突然なんですけど、永原さん今日のお昼空いてますか?」
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