冷徹上司は大家さん!?
 まだ真新しい蛇口をひねって鍋に水を入れ、コンロにかける。


「お湯がわくまであと7分……ってとこかな」


 私はタイマーをセットすると着ていたカットソーとショートパンツを脱ぎ、綿のゆるいワンピースに着替えた。

 この間、約10秒。

 そして、再び段ボールの山をかき分け「漫画」と書いてある箱を見つけ出した。


「あったー!」


 箱からお気に入りの少女漫画を探し出し、さっき寝転んでいた西日が差す窓辺の床に積み上げる。

 さらに、さっき運び込んでもらったベッドの上からクッションを2つ持ってくると、頭と腰の位置に置いて寝そべった。


 あったかくて太陽の匂いがする部屋と、使い慣れた部屋着と、読みかけの少女漫画。


「はあ、最高……」


 フルーツ系のお酒(できれば梅酒)と、おつまみがあればもっと最高。
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