冷徹上司は大家さん!?
おそるおそる浅野課長のほうを見ると、目を大きく開いて驚いたような顔をしていた。
「お、おかしかったら笑ってください!」
「いや、そうじゃなくて。俺も同じだから、驚いた」
「えっ?」
「俺もさ、母親がそんなふうに化粧品から元気をもらってるところ、いつも見てて。毎日疲れて仕事から帰ってくるのに、次の日の朝口紅塗ってるときなんか、すごい楽しそうなんだよ。でもその母親が5年前に亡くなって……」
「え……」
「俺、母親に自分で作った化粧品プレゼントして笑顔になってもらうのが夢だったんだけど結局叶わなくて。今度プレゼントしたい人ができたときには間に合うように、って必死になってたらいつの間にかこんな感じになってた」
「そうだったんですね……」
知らなかった、そんな過去があったなんて。
悪いこと聞いちゃったな……なんて言葉をかけよう。
横目でチラッと浅野課長の様子を伺うと、小刻みに体を震わせている。
「す、すみません! 辛いこと思い出させてしまって……」
「……くくくっ」
「お、おかしかったら笑ってください!」
「いや、そうじゃなくて。俺も同じだから、驚いた」
「えっ?」
「俺もさ、母親がそんなふうに化粧品から元気をもらってるところ、いつも見てて。毎日疲れて仕事から帰ってくるのに、次の日の朝口紅塗ってるときなんか、すごい楽しそうなんだよ。でもその母親が5年前に亡くなって……」
「え……」
「俺、母親に自分で作った化粧品プレゼントして笑顔になってもらうのが夢だったんだけど結局叶わなくて。今度プレゼントしたい人ができたときには間に合うように、って必死になってたらいつの間にかこんな感じになってた」
「そうだったんですね……」
知らなかった、そんな過去があったなんて。
悪いこと聞いちゃったな……なんて言葉をかけよう。
横目でチラッと浅野課長の様子を伺うと、小刻みに体を震わせている。
「す、すみません! 辛いこと思い出させてしまって……」
「……くくくっ」