冷徹上司は大家さん!?
「どう? このほうがわかりやすいだろ?」

「は、はい! 次は一人でもうまく切れると思います」


 そう答えてはみたものの、切り方なんて実は全然頭に入ってこなかった。

 なんなの、この人? 電車に乗るときといい、距離感間違えすぎじゃない!?

 それとも、実は私の反応を見て楽しんでるの?


 ちらっと浅野課長のほうを見てみるけれど、彼は私の動揺に気づく様子もなく、戸棚から調理道具をひっぱり出している。


「永原、残りの野菜はとりあえず俺が切っておくから、卵といておいて」

「……わかりました」
 

 ていうかこの人、彼女いるなら私なんかを部屋に入れていいのかな?

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