冷徹上司は大家さん!?
「ごちそうさまでした。遅くまで上がりこんでしまってすみません」

「いや、まだ21時だし全然大丈夫。ここまで料理が下手な人に教えるの初めてで楽しかったし」

「楽しいってなんですか……私はまじめに作ったんですよ」


 自分の弱点を知られたのが悔しくて、ちょっと頬を膨らませてみせた。


「悪い悪い。じゃあ、また明日」

「はい。おやすみなさい」


 そう挨拶して玄関のドアを閉め、徒歩3秒の我が家に帰った。


「ふう、ただいまぁ……」


 玄関に靴を脱ぎ捨てるといつものように部屋着のワンピースに着替え、冷蔵庫から梅酒を取り出してグラスに注いだ。

 梅酒をちびちび飲みながらテレビをつけて、先週撮ったまま見ていないドラマを流し始める。
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