冷徹上司は大家さん!?
「うーん、最近はあんまり会えないですけど、寂しいって電話すると家に来てくれます」

「いいね、愛されてるじゃん。うらやましいよ」


 そう返すのはビールをガンガン飲んでいる優香さん。

 最近彼氏と別れたらしく、半ばヤケ酒になっている。

 次から次へと運ばれてくるジョッキを見ながら、わんこそばみたいだなぁ……なんて考えていると、横から朝比奈さんからの視線を感じて顔を向けた。


「永原ちゃんは? この間の昼休み、疲れた顔してたけど」


 さすが丸2年お世話になっている朝比奈さん、小さいことまでよく覚えている。

 この前の瀬尾さんの堂々とした態度を思い返すと、他の人に告白されたことを報告しても気を悪くすることはないだろう。

 私は思い切ってこの前の出来事を話すことにした。


「実は、取引先の人に告白されたんです」

「え、まじで?」

「だれ、だれ?」


 お酒が回って落ち着いていた優香さんと明菜も、身を乗り出して聞いてくる。
< 95 / 301 >

この作品をシェア

pagetop