冷徹上司は大家さん!?
「丸大百貨店の、瀬尾さん……」

「へ~! まだ2年目の女の子に手出すなんてやるなぁ」

「いや、まだ手出されたわけじゃないですけど……」

「それで一花、どうするの?」


 興味津々という表情をした明菜が、私のほうを振り向いて聞いてきた。


「うーん、しばらくしたら断わろうと思ってる」


 そう言うと、明菜はもともと大きくてぱっちりした目をさらに見開いた。


「なんで? 嫌いじゃないんでしょ? 今彼氏いないなら、とりあえず付き合ってみたほうが毎日充実するのに」


 うんうん、と他の2人も頷いている。

 さすが、社内恋愛禁止の会社の中でも男性関係が華やかな3人なだけある。

 百戦錬磨の女の人って、やっぱり恋愛に対するモチベーションが違うんだな……。


「今、自分で恋愛お休み期間って決めてるから……」


 私が遠慮がちにそう言うと、3人はあっけにとられたような顔で私を見つめた。
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