リアル
1.夏の終わり

好きな人

「――暑い……」


見上げた太陽があまりにも眩しすぎて、思わず口に出してしまった。


「おい、薫!おまえ『暑い』って言ったな――」


はっとなって振り向くと、そこには、あたしにとってはおんなじくらい眩しい先輩の笑顔があった。


「あ……違うんです……」


「いや、おれは確かに聞いたぞ。おまえ今『暑い』って言った!」


それを誤魔化せないくらい思考回路が低下しているのは――太陽の熱にやられたからなのか、それとも


「あとでジュースおごれよ〜」


カイ先輩のことが好きすぎて、頭がおかしくなっちゃったからなのか……今のあたしにはわからない。

ただ、頭がクラクラして――胸が尋常じゃないくらいドキドキしてる。


これは――……





「――っ、薫……!!」


大好きなカイ先輩の声がどこか遠くで響いている。

目の前が――真っ暗?


「かおる!大丈夫か!?」





そこからの記憶……あたしは全然憶えていない。





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