リアル

氷雨

12月に入り、あたしの周りは期末テストに向けて忙しくなりつつある。

周りの友達が勉強に勤んでいるなか、あたしも少々遅れをとりながらもテスト勉強にとりかかった。

わからないところは、森川さんという素敵な家庭教師に教えてもらっていたのだけれど――


「おい、おまえこんなこともわかんねぇのか?」


「…………」


カイ先輩に、頭をシャーペンで叩かれているあたし。

涙目になりながらも、あたしは必死に数学の参考書をめくる。


「だからぁ、おまえここはさっきも同じ間違いしてたじゃねぇか。ちょっとは学習しろ」


「す……すみません」


「あ、授業料ですが、大幅に居残りさせられてるんで……延長料金いただきます」


「うう……ごめんなさい……」


森川さんは、講義が忙しいとかで、この一週間はあたしにかまっていられないそうだ。

兄貴はバイトばかりで帰りが遅いし――そんなあたしに頼れる場所なんて、モ会の部室しかなかったのである。




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