リアル
ふいに、差し出されたコントローラーを、あたしはとっさに受け取ってしまった。

すぐに2人プレイが始まり、あたしの頭から、さっき覚えたばかりの数学の公式たちがどこかへ飛びたっていく。


「あたしこのゲーム、クリアしたことないです」


「――よし、今夜は徹夜だ!」











結局、全6ステージすべてのボスを倒し終えるころには、すっかり日付が変わっていた。


「……やっぱいいですね!このゲーム楽しいです!ちょー満足」


「でもおまえ下手すぎじゃね?コンテニュー使いすぎだって」


ご丁寧にスタッフロールまで見終えたところで、あたしはようやく我に返った。


「――こんなことしてる場合じゃない!」


「ははは、今ごろ気づくなよ」


時計を見ると、もう12時半。

もちろんバスも電車も終わってる時間だから、慌ててお兄ちゃんに電話をかけた。


「今日はありがとうございました!最後結局ゲームしちゃいましたけど。楽しかったです!」


そんな余裕をぶっこいていたら、とんでもない状況があたしを待っていた。




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