リアル
残りの1割の可能性
電話は、2回ほどかけたのだけれど、出てもらえなかった。
未だ消せずにいる、森川さんの番号とアドレス。
付き合うまでは、番号さえも知らなかった。
カイ先輩の告白から3日。
あたしはやっぱり気持ちを抑えられずに、森川さんのマンションに押しかけた。
ピンポンを鳴らしたけれど、森川さんが出てくる気配もない。
あたしは屋上に続く階段の目立たない所に座りこんで、森川さんの帰りを待っていた。
かじかむ指先に息を吹きかけても、白く消えて行くだけで全く暖まらなかった。
あたしは、ここに来てよかったのだろうか。
森川さんに会ったところで――なにが変わるというの?
自問自答を繰り返し、行き場のない想いだけが、ぐるぐるとあたしの頭の中を駆け回っている。
それでもやっぱり、森川さんに会いたいと思った。
もうどれくらいの時間待っただろうか。
寒さで手足の感覚がなくなったころ、階段を上がってくる足音が聞こえた。
未だ消せずにいる、森川さんの番号とアドレス。
付き合うまでは、番号さえも知らなかった。
カイ先輩の告白から3日。
あたしはやっぱり気持ちを抑えられずに、森川さんのマンションに押しかけた。
ピンポンを鳴らしたけれど、森川さんが出てくる気配もない。
あたしは屋上に続く階段の目立たない所に座りこんで、森川さんの帰りを待っていた。
かじかむ指先に息を吹きかけても、白く消えて行くだけで全く暖まらなかった。
あたしは、ここに来てよかったのだろうか。
森川さんに会ったところで――なにが変わるというの?
自問自答を繰り返し、行き場のない想いだけが、ぐるぐるとあたしの頭の中を駆け回っている。
それでもやっぱり、森川さんに会いたいと思った。
もうどれくらいの時間待っただろうか。
寒さで手足の感覚がなくなったころ、階段を上がってくる足音が聞こえた。