リアル
コンビニに行っていた兄貴もすぐに帰ってきて、中林家はちょっと遅い夕食となった。


「このギョーザ、お父さんが作ったの?」


不格好な形とは裏腹に、とても味のいいギョーザ。


「うん。誰かさんが手伝ってくれる予定だったから、一緒に作ろうと思って……」


痛いところを突かれ、あたしは慌ててギョーザを口の中に放りこんだ。


「……うん、美味しい!」


話を誤魔化したあたしを横目で見ながら、お兄ちゃんは行儀悪く、あたしを箸で指しながらお父さんにつぶやいた。


「薫ね、オトコが出来たんだよ」


皿の上に、箸がカーンと高い音を立てて落ちた。

もちろん、動揺して箸を落としたのはあたし。


……と、あと、向かいに座るお父さんも、だ。


「だから最近帰りが遅いの。ませてるよねー、最近の高校生は」


「……ちょっと!余計なこと言わないでよ!」


兄貴はにやにやと笑いながら、冷や汗をたらたら流すあたしと固まったお父さんを交互に見た。




< 148 / 254 >

この作品をシェア

pagetop