リアル

忠告

命日の一件以来、あたしはすっかりカイ先輩に心を許してしまっていた。


あたしの中で、母の話はタブーだった。

他人に、あんなに自分の弱いところをさらけ出したのは――はじめてだったかもしれない。







しかし、あたしとカイ先輩の“恋人”としての関係は相変わらずで

今日だって、特に待ち合わせもしないまま、あたしは放課後、モ会の部室に向かっていた。


「お疲れさまで〜す……」


そおっと部室をのぞいてみたが、カイ先輩どころか――珍しく誰もいなかった。

もう夕方6時すぎだから、大学の授業も全部終わったはずなのに。


カイ先輩にメールしてみようかな、とも思ったけれど、忙しかったら迷惑だと思い、あたしはそのまま部室に入って待つことにした。



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