リアル
5.波乱と憂鬱
2人の母
『はじめまして。隼人くん、それに薫ちゃん』
『お母さあん!』
『…………』
『ねえねえ、お兄ちゃんは……お母さんのこと、きらい?』
『……あんまり好きじゃない』
『どおして?』
『……どうしても』
『かおるはね、だいすきだよ!おいしいケーキ作ってくれるしね、このまえはおもちゃ買ってくれたよ』
『…………』
『だってお兄ちゃんも、お母さんにおようふく買ってもらってたでしょ?』
『ぼくは……』
『お兄ちゃん、どおして泣いてるの?』
『ぼくは、前のお母さんがいい!かおるのせいで……ぼくのお母さんは死んだんだ!』
その次の日、兄はチョコを買ってきてあたしに謝った。
ちょっとだけギクシャクしたけれど――すぐにあたしたち兄妹は仲直りをした。
兄は今まで以上に優しくなった。
でも、あたしの中で――あの、お兄ちゃんの言葉は一生消えない。
お兄ちゃんもまた、あたしに放った言葉を、ずっと悔やんで生きているのかもしれない。
『お母さあん!』
『…………』
『ねえねえ、お兄ちゃんは……お母さんのこと、きらい?』
『……あんまり好きじゃない』
『どおして?』
『……どうしても』
『かおるはね、だいすきだよ!おいしいケーキ作ってくれるしね、このまえはおもちゃ買ってくれたよ』
『…………』
『だってお兄ちゃんも、お母さんにおようふく買ってもらってたでしょ?』
『ぼくは……』
『お兄ちゃん、どおして泣いてるの?』
『ぼくは、前のお母さんがいい!かおるのせいで……ぼくのお母さんは死んだんだ!』
その次の日、兄はチョコを買ってきてあたしに謝った。
ちょっとだけギクシャクしたけれど――すぐにあたしたち兄妹は仲直りをした。
兄は今まで以上に優しくなった。
でも、あたしの中で――あの、お兄ちゃんの言葉は一生消えない。
お兄ちゃんもまた、あたしに放った言葉を、ずっと悔やんで生きているのかもしれない。