リアル
流されるまま、ハジメテを失わなければならないのかと、あたしがぼんやりとした頭で覚悟していたとき、
ふと、カイ先輩の力が緩んだ。
シーツの上にはりつけられたあたしの手も、自由になった。
「……拒否権は3回まで。それまでに覚悟決めとけよ」
と、カイ先輩はあたしの上からどいて、ベッドのふちに座った。
今までせき止められていた血が、どっと血管を流れ――じんじんと痛む手首が、あたしを現実に引き戻した。
「……ごめんなさい……」
カイ先輩はテーブルの上のライターに手を伸ばし、煙草に火をつけた。
そしてあたしに背を向けたまま、あたしの手にそっと触れた。
「……痛くしてごめん」
そうつぶやいた先輩の表情は見えなかったけれど、
あたしは胸の奥がつんとなって、どうしようもないほど苦しくなって――たまらず、カイ先輩の背中に抱きついた。
「――おい、これ以上生殺しにしないでくれよ……マジで」
そうカイ先輩は笑ってあたしの腕をふりほどこうとしていたけれど、あたしは離れることが出来なかった。
ふと、カイ先輩の力が緩んだ。
シーツの上にはりつけられたあたしの手も、自由になった。
「……拒否権は3回まで。それまでに覚悟決めとけよ」
と、カイ先輩はあたしの上からどいて、ベッドのふちに座った。
今までせき止められていた血が、どっと血管を流れ――じんじんと痛む手首が、あたしを現実に引き戻した。
「……ごめんなさい……」
カイ先輩はテーブルの上のライターに手を伸ばし、煙草に火をつけた。
そしてあたしに背を向けたまま、あたしの手にそっと触れた。
「……痛くしてごめん」
そうつぶやいた先輩の表情は見えなかったけれど、
あたしは胸の奥がつんとなって、どうしようもないほど苦しくなって――たまらず、カイ先輩の背中に抱きついた。
「――おい、これ以上生殺しにしないでくれよ……マジで」
そうカイ先輩は笑ってあたしの腕をふりほどこうとしていたけれど、あたしは離れることが出来なかった。