リアル
「いってぇ……おまえなぁ――おれまで巻き込むなよ」


「す、すみません……」


ふたりして、肩や頭やらを床に打ちつけてしまった。

ふらふらする頭で立ち上がろうとすると、まだ足元がおぼつかなくって――倒れそうになったあたしを、カイ先輩が慌てて支えてくれた。


「おい、まだ寝とけよ。これでも飲んで」


先輩はあたしをソファに無理やり押しつけて、スポーツドリンクを差し出した。


「熱中症なんだから」


「……あれ?わたしが?」


「おまえ以外誰がいるんだよ」


「すみません……あっ!先輩にジュースおごんなきゃ」


「バーカ、いらねぇよ。ほら、これ飲め」


先輩はそう吐き捨てて、あたしの手の中にペットボトルをねじこんで立ち上がった。


「すみません……ありがとうございます……」


少しだけ、しょげてしまったあたしに気づいてくれたのか――ふと、カイ先輩の大きな手の平が、あたしの頭に優しく降ってきた。


「ごめんな。具合悪くなるまで頑張ってたのに――気づいてやれなくて」





先輩……それは反則です!

再びあたしはソファにぶっ倒れそうになっていた。





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