リアル
そう。
やめてしまえばいいのよ。


サユリさんへの嫉妬に苦しんだ毎日も、
カイ先輩のことを想い、涙を流した夜も、

ふたりの別れを――ほんとうは、心の奥でこっそり喜んでしまったあの雨の日のことも、


全部、忘れてしまえばいい。





その時、あたしの頬になみだが伝った。

自分でも驚いて、慌ててそのなみだを拭って――
改めて、自分がどれほどカイ先輩のことが好きだったのか、思い知らされる。


もういやだ。
もう……こんなに苦しい思い、したくない。


幼い頃に憧れた、少女マンガのような恋愛とはあまりにかけ離れた現実に――あたしの心はぼろぼろと崩れていきそうだった。





もう、カイ先輩のことなんて――好きじゃ、ない。

先輩だって、あたしのこと、好きじゃ、ないんでしょ?



だったら――あたしの風邪を案じるのも、あたしに心配かけまいと無理するのも、優しい笑顔で微笑むのも、もうやめてくれませんか……?





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