リアル
2.意外な存在
苦手意識
「森川さん……」
それは――ちょっとだけ、あたしの苦手な人。
「大丈夫?」
その人は、また同じ言葉を繰り返した。
「あ……大丈夫です……」
「そう」
森川さんは、静かにあたしの目を見つめたあと、くるりと踵を返して、部室の方へと歩いていった。
その後ろ姿を、あたしは唖然としながら眺めていた。
なんで――森川さん?
その思いしか、浮かばなかった。
それくらい、あたしにとっては意外な人だったから。
ガレージの手前に置いていたあたしのカバンの上に、何かがのっている。
「タオル……?」
それは真っ白なタオルだった。
まさかとは思うけれど……これって、森川さんの?
ふわふわしたタオルはほんのり暖かくて、顔をうずめると、甘いにおいがした。
柔らかな感触に、思わず心がゆるんで、止まったはずのなみだがまたあふれ出した。
不思議な気持ちに――あたしはただただ、戸惑うことしか出来なかった。
それは――ちょっとだけ、あたしの苦手な人。
「大丈夫?」
その人は、また同じ言葉を繰り返した。
「あ……大丈夫です……」
「そう」
森川さんは、静かにあたしの目を見つめたあと、くるりと踵を返して、部室の方へと歩いていった。
その後ろ姿を、あたしは唖然としながら眺めていた。
なんで――森川さん?
その思いしか、浮かばなかった。
それくらい、あたしにとっては意外な人だったから。
ガレージの手前に置いていたあたしのカバンの上に、何かがのっている。
「タオル……?」
それは真っ白なタオルだった。
まさかとは思うけれど……これって、森川さんの?
ふわふわしたタオルはほんのり暖かくて、顔をうずめると、甘いにおいがした。
柔らかな感触に、思わず心がゆるんで、止まったはずのなみだがまたあふれ出した。
不思議な気持ちに――あたしはただただ、戸惑うことしか出来なかった。