リアル
翌日の放課後、少しだけ緊張しながらモ会の部室に足を運ぶと、そこにはカイ先輩と部長さんがいた。


「あの……このタオル、ご存知ないですか?」


「いや、知らね」


「おれも」


一応聞いてみたけれど、返ってきた答えはあたしの予想と同じものだった。


「今日って、森川さん……いらっしゃいますか?」


「ああ――5限が終わったら来る、みたいなこと言ってたよ」


まだ、5限の終わりまでは1時間もある。

胸のつかえが取れたように、なんだか妙にほっとしてしまった。


それくらい、あたしにとって――森川さんって人は、“話しかけ難い”存在なのだと思う。


どうしてだろう。

あたしだけが、森川さんの中で否定されているような気がした。

部員みんなとは、もちろんリュウくんとだって、普通に(それでも無口ではあるが)喋ってるのに。


よっぽど……嫌われてるのかも、あたし。



そんなことを考えていたら――ますます気がめいってしまった。




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