リアル

どちらの助手席へ?

「――うそ!おまえ明後日だって知らなかったの?」


「はい……だって、誘ってもらってませんもん……」


わざとらしく、しょげてみせると、カイ先輩は困ったように頭をかきだした。


「リュウには話してたから……薫にも伝わってると思ってた」


「今さっき、明後日だって知りましたよ。森川さんが走行会の準備してらっしゃったから」


「おれ……言わなかったっけ?」


「はい。知りません」


意地悪げに言ってみたのに、カイ先輩はまた屈託なく笑うのだ。


「じゃあ、ごめんな。改めて――明後日、森川と走りに行くけど、薫も一緒に来ないか?」


悔しいけれど、あたしはやっぱりこの笑顔に弱くて……相変わらず胸の奥はずきずきと痛むのだけれど、あたしはつられて笑顔になった。


「……行きます!」


「よし、じゃあ明日の夜中に出発な。また時間は森川と相談して連絡すっから」



――報われない恋は、もうやめにしようと心に決めたはずだったのに。




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