リアル
すっかり日も暮れたころ、遅れてリュウくんが部室にやってきた。


「聞いたよ、走行会のこと。明後日なんだね」


ガレージの中にふたりで座って、グラウンドで走り込みをしている野球部の姿を眺めていた。


「うん。中林も、来るでしょ?」


「うん、そのつもり。うちのお兄ちゃんは来ないのね」


「らしいね。隼人さんはバイトが休めなかったみたいだよ」


「じゃあ、明後日は四人だけなんだね」


何気なくそう言うと、リュウくんが何かを思い出したようにあたしの顔を見た。


「そうそう、そのことなんだけどさ」


グラウンドの照明がやけに眩しくて、もう日が沈んだとは思えないくらいに辺りは妙に明るい。


「集合はいつものように部室ね。で、中林は兄貴の車に乗りなよ」


「――どうして?」


あたしが不思議に思っていると、リュウくんは少し周りをキョロキョロと見回して、こそこそ耳打ちした。


「中林……森川さんのこと、苦手なんじゃない?」




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