リアル
あたしの気持ちを無視して、話はとんとん拍子に進んでいく。


「じゃあ明日は……何時集合になりそうですかね?」


「ん――たぶん夜中の2時ぐらいに出発すればいいんじゃないかな。カイさんもきっと高速は使わないでしょ?」


「だと思います。兄貴、金ないって言ってたから」


「じゃあ集合は1時半くらいでいいと思う。一応、カイ先輩にも確認してみて」


そんな森川さんの言葉に、リュウくんはカイ先輩のいる部室の中へと駆け込んでいった。

あたしは、ガレージの中に森川さんとふたり、取り残された。


「――高橋さん、結局来ませんでしたね」


黙々と必要な工具を準備している森川さんの背中に、あたしは笑って話しかけてみる。


「うん。でもさっき学校に戻ったときに見かけたから……後ろから蹴っといた」


あたしのほうを振り返りもせずに淡々と話す森川さんなのに、なんだかますます親近感をおぼえてしまうのだ。




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