リアル
2周、3周とコースを回るうちに、あたしの身体と心はすっかりドリフトに慣れてしまい、
午前の部が終わる頃にはすっかりドリフトの虜になっていた。
タイヤの焼けるヤな臭いさえも、全く気にならないくらい。
「薫がそんなに喜ぶとは思わなかった」
お弁当の白ご飯の上に乗った梅干しを箸の先でつつきながら、カイ先輩は少しあきれたように笑った。
自分でも、なにが楽しいのか正直さっぱりわからない。
でも、スピードののった車体が横を向いた瞬間の、強い衝撃と、さらわてしまうような感覚が、たまらなくヤミツキになるのだ。
「あんなにビビってたのに」
「面白いくらい顔色も悪かったのになー」
昼休みの今は、ピットの中でコンクリートの地面に座って、4人で昼ご飯タイム。
あたしをおちょくる兄弟とは対照的に、森川さんは黙々と、買ってきたコンビニ弁当を食べていた。
「リュウ、今度はおまえが隣に乗ってみるか?」
カイ先輩の言葉に、リュウくんは一瞬だけあたしを見て――うん、と小さくうなずいた。
午前の部が終わる頃にはすっかりドリフトの虜になっていた。
タイヤの焼けるヤな臭いさえも、全く気にならないくらい。
「薫がそんなに喜ぶとは思わなかった」
お弁当の白ご飯の上に乗った梅干しを箸の先でつつきながら、カイ先輩は少しあきれたように笑った。
自分でも、なにが楽しいのか正直さっぱりわからない。
でも、スピードののった車体が横を向いた瞬間の、強い衝撃と、さらわてしまうような感覚が、たまらなくヤミツキになるのだ。
「あんなにビビってたのに」
「面白いくらい顔色も悪かったのになー」
昼休みの今は、ピットの中でコンクリートの地面に座って、4人で昼ご飯タイム。
あたしをおちょくる兄弟とは対照的に、森川さんは黙々と、買ってきたコンビニ弁当を食べていた。
「リュウ、今度はおまえが隣に乗ってみるか?」
カイ先輩の言葉に、リュウくんは一瞬だけあたしを見て――うん、と小さくうなずいた。