リアル
森川さんと普通に会話が出来るようになったことの喜びを、ありのままにカイ先輩に話した。
「リュウくんも、そのこと心配してくれてたみたいですけど……。今まで全然喋ってもらえなかったのに――だから最近嬉しいんです!」
だってカイ先輩も“よかったな”って言ってくれると思ったから。
森川さんと仲良くなれたことで、また一歩――部員のみんなに近づけた気がするから。
「……ふうん」
でも、カイ先輩から返ってきたのは、あたしの予想とは少し違った反応だった。
先輩はそのまま立ち上がり、メイド服のエプロンのポケットから煙草を取り出した。
「――煙草吸ってくる」
「あ……はい」
テントから出ていこうとして、しゃがんでいたあたしの手の中に何かを置いた。
「ゴチ」
「あ――!」
ひとくち分だけ残されたクレープの端っこ。
「ひどいです!ほとんど食べてるし!」
カイさんはケラケラ笑いながらテントを出ていった。
ひとり残されたあたしは――
なんだか後ろめたい間接キスを、誰にも見つからないよう口の中に放りこんだ。
「リュウくんも、そのこと心配してくれてたみたいですけど……。今まで全然喋ってもらえなかったのに――だから最近嬉しいんです!」
だってカイ先輩も“よかったな”って言ってくれると思ったから。
森川さんと仲良くなれたことで、また一歩――部員のみんなに近づけた気がするから。
「……ふうん」
でも、カイ先輩から返ってきたのは、あたしの予想とは少し違った反応だった。
先輩はそのまま立ち上がり、メイド服のエプロンのポケットから煙草を取り出した。
「――煙草吸ってくる」
「あ……はい」
テントから出ていこうとして、しゃがんでいたあたしの手の中に何かを置いた。
「ゴチ」
「あ――!」
ひとくち分だけ残されたクレープの端っこ。
「ひどいです!ほとんど食べてるし!」
カイさんはケラケラ笑いながらテントを出ていった。
ひとり残されたあたしは――
なんだか後ろめたい間接キスを、誰にも見つからないよう口の中に放りこんだ。