リアル
1日目、2日目と共に、お客さんから一番多くの指名をもらったのはやはり森川さんだった。

気になる売上も、かなりの黒字だとみんな喜んでいる。


「大成功、しかも森川さんの圧勝でしたね」


そのまま打ち上げが行われたテントの中で、あたしはオレンジジュース片手に森川さんに近づいた。

森川さんはもういつものツナギに着替え、焼酎をちびちび飲んでいる。


「まあ、ね。最初からわかりきってたことだけど」


自信満々の微笑に、あたしもくすくすと笑った。


彼がこんな人だったなんて――全然知らなかった。

森川さんって、もっと真面目で、もっと無愛想でカタブツで――冗談なんて通じない人だと思ってた。


「たしかにお綺麗でしたよ。女の子みたい」


「男からも指名されるとは思わなかったけどね」


「ふふ、あたしより人気ありそうで、オンナとしてジェラシーでしたよ」


また瓶から焼酎をグラスに継ぎ足して、ふと、森川さんが静かにつぶやいた。





「写真、撮っとけばよかった」





え?、と、聞き返したあたしの言葉は――罰ゲームから帰ってきた高橋さんの声に遮られてしまった。





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